残される犬猫たちを救いたい。
ペットでつながる見守り支援
少子高齢化が進み、ペットを生きがいとして暮らす高齢者が増えています。
一方、高齢の飼い主の死亡や入院によるペットの飼育放棄が後を絶ちません。孤独死の現場で、衰弱したペットが発見されるというケースも珍しくありません。今、社会には行き場のない犬猫たちがあふれ出していますが、その受け皿となる保護施設は圧倒的に不足しています。
介護の現場からはSOSが相次ぎ、私たちは、孤立する高齢者とペットの様々な問題に直面しました。
「その高齢者さんにとって、16年暮らしてきたキャサリンという1匹の猫は家族以上の存在です。もし離ればなれになれば、生きる気力も失うと思います。病気のせいで猫の世話も難しくなってきましたが、できる限り長く、一緒にいさせてあげたいのです。そのために力を貸してもらえないですか?」
シェルターを持たない、財源の無い私たちに何ができるのか?
そんな不安もありましたが、このケアマネからの相談が大きなきっかけとなり、
高齢者とペットの安心プロジェクトが動き出しました。
ペットを通じて高齢者とペットの見守り支援を行い、残される犬猫たちを救う新たな仕組みをつくります。
高齢者とペットの安心プロジェクト
3つの支援
1. 相談支援
2016年から取り組んできた猫の多頭飼育問題では、私たちが対応した事例の23件のうち16件が高齢の飼い主のもとで発生していました。
中には猫が40匹以上になり、劣悪な生活環境に陥っていたケースもありました。
これらの事例のほとんどが、早い段階で支援に入れていれば、確実に防げていたものでした。
早期発見、早期支援が何より必要だと実感しました。
高齢者や福祉の現場の方が、ペットの問題で困ったなと感じた時、いつでも気軽に相談ができるよう相談窓口を設置しています。
できる限り問題を早期に発見し、必要な支援につないでいます。
2. 訪問支援
ペットの飼育に支障が生じている一人暮らしの高齢者宅へ定期的に訪問し、ペットの世話や買物支援など適正飼育に必要な支援を行っています。
多頭飼育等で経済的困窮が生じている場合には、ペットフード支援を行っています。見守り支援を行うことで、問題の発生をできるだけ早く関知し、適切な支援につないでいます。
3. もしもに備える
民間シェルター4団体と連携し、ペットが飼育放棄となった場合のフォロー体制と緊急保護ができるセーフティーネットの仕組みを構築しています。
啓発事業
シンポジウムやセミナー、パネル展を開催し、「終生飼育」や「もしもに備える」
大切さを広く伝えています。啓発グッズの無料配布を行っています。
シンポジウム
「高齢者とペット問題を考える」
■ 基調講演
日本の動物愛護が向かうべく輝く未来(杉本彩氏)
■ 現場からの報告
『老犬たちの涙』の現場から(児玉小枝氏)